金融の未来を考えるブログ

  • 信用リスク移転マーケットの拡大
    CDSの流動性が低い日本では、以前からCVAのヘッジにCLNが使われるケースがあった。クレジットイベントに相対のISDA契約の下での取引のevent of default を加えるForth trigger CDSの形だ … 続きを読む
  • NISAはやはり国内個別株に流れた
    日本証券業協会の3月末のNISA口座の開設・利用状況が公開された。先月書いたように、これまで個別株にすでに投資していた投資家が、新NISA開始に合わせて成長枠のポジションを一気に増やしたという仮説を裏付ける形になっている … 続きを読む
  • 為替取引の未来
    為替のスポット取引の電子化はかなり進んだが、直近ではフォワードや為替スワップ、NDFにおける取引が急速に増えている。 こうしたスポット以外の1日の取引量は、昨年比2倍近くに増えているというデータもある。フォワードについて … 続きを読む
  • 経済制裁とデリバティブ取引の解消
    ロシアに対する中国の支援抑制を目指して、米政府が中国の一部銀行に対して制裁措置を検討しているという報道があり、マーケットが混乱した。 国として経済制裁を発動するのは仕方ないが、経済制裁で痛手を被るのは、制裁をかけた側、ま … 続きを読む
  • ローンヘッジが一般化してきた
    CVAヘッジのためにCDSが本格的に使われ始めて20年近くたつが、これがローンの世界にも広がってきた。CVAは日々値洗いされるため、CDSでヘッジしておけば日々のPL変動が避けられる。しかし、ローンの場合は日々時価評価が … 続きを読む
  • 金利が動いたときに自動的にレポをする取引
    もう10年くらい前に書いた記事だが、担保契約の違いを利用してレポ取引をする方法を紹介したことがある。英国のギルトショック時に担保拠出のために国債の売却を余儀なくされたアセマネが多かったことから、今般この手法についての報道 … 続きを読む
  • 米国のクリアリングビジネスに起きている矛盾
    Basel III endgameに対する批判の一つにFootnote428があるが、これはクライアントクリアリングのポジションに対してCVAを計算し、資本賦課を行うという提案である。通常米国はエージェントモデルを採用し … 続きを読む
  • Basel IIIで内部モデルは存続できるのか
    バーゼル3FRTBの最終化を控えて、内部モデルか標準法かという議論が注目されているが、欧州3行が内部モデルを検討中とRisk.netで報道された。これまでカナダ、日本と標準法を採用する銀行ばかりだったため、ぼぼ初めて大手 … 続きを読む
  • クリアリングにおける執行と清算の分離について
    米国債のクリアリング規制が来年末に導入される(レポは6ヶ月遅れ)が、それをどのようにクリアリングするかに注目が集まる。金利スワップなどのOTCデリバティブ取引の場合は、ディーラーが取り次ぐクライアントクリアリングが一般的 … 続きを読む
  • Basel III緩和について
    Basel III endgameに関して、G-SIB surchargeを緩和するというCFTC議長のコメントがRisk.netで紹介されている。これは今週三日間に渡って開催されたISDAの年次総会でのコメントだが、こ … 続きを読む

「金融の未来を考えるブログ」への7件のフィードバック

  1. JSCC LIBOR廃止に関して「レートが確定していても、変換日にPaymentを迎えていないLIBOR参照のキャッシュフローについてはTONA-OISとして金利計算、支払いを行うとある」
    とのことですが
    ISDAのは①FIXINGされてものはLIBOR、12/31以降はFALLBACK利用する➁すでにFIXINGされていれば次回のリセット日までLIBOR利用できるイメージでしょうか

    弱小銀行でLIBOR廃止対応することになって、周りに聞けなくてご教示のほどよろしくお願いいたします。

    1. はい。私もその理解でした。Libor Fixingが終わっていれば、それをRFRに後で変更しないという理解です。

      なのでCMEのやり方は相対取引と整合的になり望ましいということだと思っていました。実際のプロトコルを確認していないのですが、もしどなたか違っていればご教授頂ければと思います。

  2. いつもブログを拝見させていただいております。ありがとうございます。
    数点、XVAデスクに関して質問させていただけますと幸いです。
    ①以前の投稿で、「XvAデスクが金融機関の命運を握る」と記述されておりましたが、今後も当該デスクは金融機関にとって重要なポジションである続けるとお考えになりますでしょうか。また当該ポジションが将来的には需要が消失してしまう可能性に関していかがお考えになりますでしょうか。理由や背景なども含めてご教示いただけますと幸いです。
    ②XvAデスクに対する興味関心が高く、将来的に社内異動などで行ければと考えております。当該ポジションの転職市場等における扱いに関してはいかがお考えになりますでしょうか。また基本的には銀行(商業銀行)と証券会社において設置されるチームであると考えますが、銀行と証券会社におけるXvAデスクの役割の違いに関してもご教示いただけますと幸いです。
    ③XvAデスクに仮に異動出来たと仮定して、どのような経験を積むことが出来れば将来的に市場価値が高い人材になることが出来るとお考えになりますでしょうか。また普段の業務の中で管理人様が感じる業務の醍醐味と大変な点に関してもご教示いただけますと幸いです。

    海外ではXvAデスクの導入がかなり進んでおり、業務経験者も多いイメージですが、日本ではまだまだ発展途上で、業務経験者も少なく情報がなかなか獲得できないというのが実情です。
    上記3点に関してお手すきの際にご回答いただけますと幸いです。
    よろしくお願いいたします。

      1. 管理人様

        当該質問をテーマとして取り上げていただきましてありがとうございます。大変参考になりました。

        XvAトレーダーは業務の範囲が広く、そもそものデリバティブ取引に関する知識に加え、マーケット慣行、担保取引、CCP、金融規制(特に証拠金規制やバーゼル規制)、金融機関のバランスシートや資金調達を含む会計知識など様々な知識が要求され、知的好奇心を擽られる大変興味深い業務であることを改めて理解出来ました。

        引き続きよろしくお願いいたします。

  3. いつも記事を大変参考に見ています。一旦質問があり、いわゆる『この取引はバランスシートを使う、バランスシートコストが高い』というのを聞くのですが、具体的に1.どのような取引がバランスシートを使う取引なのか、2.その取引を行った時のバランスシートコストとはどのように計算されるのか、3.関連する規制についてお伺いできればと思います。

    1. いつもご愛読ありがとうございます。
      確かに現場では一般的にバランスシートを使うという言い方をしてしまうのですが、厳密には幅広い意味が含まれていると思います。バランスシートなので国債や社債を銀行勘定で持つとか、レポを行うというのが最もバランスシートを使う取引になります。一方スワップなどはMTM分がバランスシートに乗るので(一部PFEが含まれることもありますが)、国債を保有するのに比べたバランスシートのUsageは低くなります。
      バランスシートの計算方法は指標によって異なりますが、その国の会計規則によって決まります。米系であればGAAPによるバランスシートがメインなのですが、広義にSLRなどのレバレッジエクスポージャーをバランスシートの意味に含める人もおり、私も無意識のうちにSLRをバランスシートの意味で使っていることが多いかもしれません。厳密にはバランスシートではないですが、もっと広げてBasel3 Standard、Basel3 Advanced、CCARなどを含めるケースもあり、GSIBスコアなども含めて使う人もあるかと思います。関連する規制は会計規則とレバレッジ比率規制が主ですが、人によってはNSFR、LCR、その他Basel関連の指標を含める場合もあります。
      あまり厳密に定義せずに使ってしまっていましたが、私の場合は基本は会計上のBSであるももの、たまにSLRを加えるくらいのイメージでした。

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2012年から金融規制・市場最新動向をお届けしてきました。今般アメブロから引っ越してきました。